保険の非常口

【親知らず・抜歯】医療保険は一部保険会社のみ支払対象

2021年7月19日

親知らず・抜歯手術は、基本的に手術給付金の対象外です。

現在主流の医療保険は、公的医療保険連動型です。公的医療保険連動型は、健康保険適用で手術料が算定された場合に対象になります。ただし、歯科手術は対象外と明記されているからです。

平成初期(2000年頃)までは、約款に記載された手術88種類のいずれかに該当すれば対象となる医療保険が主流でした。このタイプであれば、親知らず・抜歯手術も対象になる可能性があります。

今回は、「親知らず」でお悩みのみなさまへ、医療保険の支払・加入の目安をご紹介いたします。

親知らずの由来

親知らず(親不知・おやしらず)とは、前歯から数えて8番目、最も奥に存在している歯で、一般的に20歳前後で生えてきます。

平均寿命が40歳前後だった昔の人たちのなかには、自分の子供の親知らずが生えてくる前に亡くなってしまい、親知らずを見ることが出来なかった、というのが親知らずの名前の由来と言われています。

抜歯手術は”歯科”診療報酬点数表で算定

抜歯手術は、歯科診療報酬点数表において、抜いた歯、および手技によって4種類に分類されています。

①乳歯(J000-1  130点)

②前歯(J000-2  150点)

③臼歯(J000-3  260点)

④埋伏歯(J000-4 1,050点)

ご参考 ⇒ 歯科診療報酬点数表(抜歯手術)

公的医療保険連動型タイプ

公的医療保険連動型タイプの保険で対象となる手術は、”医科”診療報酬点数表によって算定されるという条件があります。

そのため、”歯科”診療報酬点数表によって算定される抜歯手術は、残念ながらすべて対象外です。

手術88種タイプ

手術88種タイプでは、手術番号7に「上顎骨・下顎骨・顎関節観血手術(20倍)」があります。

パッと見すると支払象かと思いがちですが、約款をよく確認すると、”歯・歯肉の処置に伴うものは除く”という但し書きがあります。

そのため、ほとんどの保険会社では、”親知らずの抜歯も他の抜歯手術と同様に、”歯・歯肉の処置に伴うもの”として、手術給付金のお支払い対象外としています。

しかし、ごく少数ではありますが、手術88種タイプで”親知らず”の抜歯を、”上顎骨・下顎骨・顎関節観血手術”として、入院日額の20倍を対象としている保険会社もあります。

ただし、対象としている保険会社でも、契約時期によっては対象外となるので注意が必要です。

対象可否を確認する方法

保険会社所定の診断書を医師に記載してもらい、保険会社へ提出するのが一番確実です。

万一対象外であったとしても、診断書の取得費用(実費・5,500円くらい)は返金してくれる保険会社がほとんどです。

診断書を取る前に電話で確認したい人は、下記連絡先をご参照ください。

【50音順】各保険会社の問い合わせ先(電話番号・受付時間)

保険会社電話番号受付時間アクサ生命保険株式会社0120-568-093平日 9時~19時土 9時~17時日・祝日・12月30日~1月4日を除くアクサダイレクト生命保険株式会社0120-953-831平 ...

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親知らず、1本抜いたら、20万! 4本抜いたら、80万!?

親知らずを手術給付金の支払対象としている保険会社で、入院日額10,000円の保険に加入していたと仮定します。その場合、親知らずを1本抜くたびに20万円がもらえます。

さらに、4本の親知らずをそれぞれ別の日に抜くと、200,000円×4回=800,000円も手術給付金をもらえます。

たとえ1本だけでも、20万円です。痛みに耐えてよく頑張った、ご褒美にふさわしい金額ではないでしょうか。

手術88種タイプで支払判断が分かれる理由

親知らず・抜歯手術が支払対象の保険会社と、対象外とする保険会社の違いは何なのでしょうか。

一言でいえば、”内規”です。

各保険会社の約款解釈、および取扱いの問題であり、ほとんどの保険会社が対象外としています。

そのため、生命保険協会や消費者団体へ申し出たとしても、保険会社の判断が覆る可能性は、まずありません。

幸運にも”親知らず(埋伏歯抜歯)”が対象の保険会社で保険に加入している方に、大事な注意点があります。

それは、歯医者さんが”親知らず”を抜いたとしても、医師が歯科診療報酬点数表の④埋伏歯ではなく、③臼歯抜歯として算定することがあります。

理由として、③臼歯抜歯のほうが歯科診療報酬点数が低いので患者さんの費用負担が少なくなり、医師が良かれと思ってのことです。

しかし、治療費がちょっとばかり高くなっても、医療保険で手術給付金の対象となったほうが、結果としてはお得ですね。

歯科医師の小さな親切が、大きなお世話になってしまうことも珍しくありません。

もちろん、大多数の患者さんにとっては治療費が少しでも安いほうがありがたいですが、ごく限られた幸運な生命保険契約者にとっては迷惑千万ですね。

これから親知らずを抜く人は、歯医者さんへ④埋伏歯(J000-4 1,050点)で手術料算定できるかどうか、事前に相談されることをおすすめいたします。

入院給付金は?

街の歯医者さんでは対応しきれずに、市立病院や大学病院の歯科口腔外科で入院のうえ、親知らずの抜歯手術をするケースもあります。

入院給付金については、公的医療保険連動型タイプ、手術88種タイプのいずれであっても医療保険の対象です。

傷病名は埋伏歯抜歯や水平埋伏智歯抜歯が一般的です。なかには”歯科治療恐怖症”といった病名が付いている診断書も散見されます。

いずれにしても、治療を目的としているため、どこの保険会社でも入院給付金は支払対象です。

新しい保険の加入は?

歯科治療については、告知しなくてもよい保険会社がほとんどです。

告知したとしても、完治していればまったく問題ありません。

ただし、これから手術予定で、新しい医療保険で保険金をもらうことは不可能ですね。

ツボ姫
抜歯で痛い思いをするのに、保険金はもらえないの?
保険会社はボランティアじゃありません。どうぞ、お大事に!
カギ

まとめ

保険のことを考えるなんて、そうそうありませんね。

親知らずをきっかけに、保険の見直しや追加契約の検討をおすすめいたします。

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