医療保険ランキングやクチコミを参考に、コスパ最高な医療保険へ加入することがベストな選択ではありません。
いま現在において、どんなに優れた医療保険であったとしても、将来にわたって最高品質を維持し続けることはありえないからです。
また、保険会社によって、保険金の支払基準は異なります。どんなに優れた医療保険でも、確実に保険金がもらえるとは限りません。
「卵はひとつのカゴに盛るな」という話をきいたことはありますか。
リスクは分散させるのが、大切なお金を守るのポイントです。
今回は、医療保険で損をしないコツ、誰でもできる方法をご紹介いたします。
実損型填補(損害保険)と定額給付型の違い
本来、保険は経済的な逸失利益を補償(モノ)・保障(ヒト)するためのものです。
火災や事故(モノ)、病気(ヒト)など偶発的な事情で保険金を受取り、その結果、以前よりも経済的に豊かになるためのものではありません。
いわゆる”焼け太り”とは、火事に遭った後、見舞金や保険金を受け取り、経済的に以前よりも豊かになることです。
保険金詐欺など犯罪目的の焼け太りを防ぐため、自動車保険、火災保険・地震保険などを”モノ”補償する損害保険では、時価によってモノの価格を定め、原則その価格以上の保険金は支払われません。
たとえば、3,000万円の家屋が全焼した場合、3,000万円以上保険金をを支払わないように、損害保険業界で契約情報を共有し、各社の契約内容に応じて保険会社同士で保険金の支払割合を分担しています。
そのため、損害保険は実損填補型と呼ばれています。
一方、”ヒト”を保障する生命保険では、職業や年収に応じた金額を目安としており、損害保険業界と同様、生命保険業界でも情報共有を行っています。
しかし、損害保険業界ほど厳格な運用はしておらず、一人に対して複数の生命保険会社と契約していることは一般的です。
生命保険(医療保険・がん保険を含む)は、定額給付型と呼ばれています。
保険金詐欺など特殊な事例を除いて、一般的には損害保険業界はお支払い時に、生命保険業界では加入時に、保険金額が適正であるかどうか、業界内で情報共有を図っています。
これは、損害保険には代理店に契約締結権があり、生命保険には代理店に契約締結権がないことにも繋がっています。
先進医療特約がミソ
最近の医療保険には、どこもかしこも「先進医療特約」が付いています。
「先進医療保障2,000万円!」とかキャッチコピーをみると思うのですが、一生のうちに2,000万円分も先進医療を受ける人ってどれほどいるのでしょうか。
正確な数値は公表されておりませんので、あくまでも私の経験に基づいた感覚ですが、①「がんに対する重粒子線治療・陽子線治療」、②「白内障に対する多焦点眼内レンズを用いた水晶体再建術」の2種類で、先進医療特約の支払実績で”8割以上”を占めています。
先進医療の技術料は①「がんに対する重粒子線治療・陽子線治療」が約300万、②「白内障に対する多焦点眼内レンズを用いた水晶体再建術」が約40万~80万ほどです。※2020年4月以降、②は先進医療の対象外となりました。
つまり、先進医療特約の2,000万を使い切るには、重粒子線治療を5回以上しなければなりません。普通の人であれば、重粒子線治療を5回もすることなく、天国へ召されていることでしょう。
これまで10万件以上の保険金を支払ってきましたが、4回以上の重粒子線・陽子線治療は、見たことも聞いたこともありません。先進医療特約2,000万を使い切った事例も、噂話ですら聞こえてこないですね。
また、いかに医療費の高騰が叫ばれている日本であっても、今後2,000万円を超える先進医療が国に認定される可能性は低いと思います。
先にご紹介したとおり、生命保険は入院したら日額いくら、手術を受けたらいくらなど、あらかじめ給付金額が定められている定額保障型です。
そのなかで”先進医療特約”は、”先進医療の技術料”が実損填補型で支払われます。(※一部の保険会社の商品では病院までの交通費などを負担する特約もあり)。
ここからがポイントなのですが、先進医療特約は実損填補型でありながら、損害保険とは異なり、保険会社毎に複数契約があれば、保険会社毎にお支払いの対象となります。
医療保険を複数社で契約するのがお得な理由
例えば、A社・B社の2社で、それぞれ先進医療特約を契約していた人が、前立腺がんになり重粒子線治療(約300万)を受けると、300万×2=600万の先進医療保険金を受け取ることができます。
入院日額10,000円の医療保険に加入を検討している人は、A社で5,000円+先進医療、B社で5,000円+先進医療と、2つの保険会社と契約すれば、万一先進医療を受けた場合、2倍の保障を受け取ることができます。
当然ことながら、入院・手術もそれぞれの契約内容に応じて保険金が支払われます。
仮に、どうしてもA社が気に入ったとして、A社で日額5,000円の医療保険を2つ契約したとしても、A社では一つの契約にしか先進医療特約が付けられないため、 先進医療保険金を2倍受け取ることはできません。
さらに、2つの保険会社を分けることで、どちらかが万一倒産してしまうなどのリスクヘッジにもなります。
保険会社によって、支払基準は異なりますので、支払えるかどうか微妙な判断になったときも、リスクを分散しておくこともできます。
もしかしたら、保険金請求の時に、診断書が2枚必要で、その費用がもったいないとお考えの人もいるかもしれません。
しかし、保険会社によっては、内容に不足がなければ他社診断書のコピーでもお支払いに応じてくれるところがほとんどです。。
仮に診断書を2枚必要になったとしても、診断書費用は1枚5,500円程度です。毎月の保険料に比べれば、診断書費用の負担はたかがしれています。
まとめ
先進医療特約の保険料は、毎月100円~1,000円と保険会社によって異ります。
先進医療特約の請求は爆発的に増えるリスクがあります。そのため、保険会社のなかには、主契約は終身変わらない保険料であっても、アフラックやメットライフのように、先進医療特約だけは10年更新としているケースもあります。
医療保険を検討なら、まず先進医療特約が”10年更新型”か”終身型”かを確認しましょう。
冒頭でも紹介しましたが、リスク対策の基本は「卵はひとつのカゴに盛るな」です。仮にひとつのカゴを落として卵が割れてしまっても、もう一つのカゴは無事ですね。
2社の医療保険に加入することで、先進医療特約に限れば、リスクを分散させながら、2倍のリターンが期待できます。
医療保険は複数契約こそが、保険で損をしないお得でカンタンな方法です。
日額10,000円に加入するなら、5,000円×2社での契約をおすすめいたします。